トトち舎襖張りワークショップ 第3日目

トトち舎ワークショップの第3日目です。

前回は下地の和紙を貼りましたが、今回(4/29)は、その上に草木染めで染められた仕上の和紙を貼る作業と、もう一つは、大きな和紙をもう一枚張って、その上に胡粉を1回塗ってみる作業です。

天気にも恵まれ、気持ちのよい作業日和となりました。

集まった方々は、やる気に満ちあふれた女子ばかり!

ウーマンパワーの前では、出る幕のない男子一匹は、作業を羨ましそうに横目で見ながら、庭に生えた雑草取りを志願。

どこかで見たような光景なんだけど・・・

この作業は、胡粉を塗る襖に大きな和紙を張っているところです。A先生が用意していただいた雲肌麻紙という和紙で、日本画に使っている越前で漉かれた和紙だそうです。

襖は、縁のない坊主襖になっているので、小口も和紙を張りまわしています。和紙を張る糊はもちろん生麩糊です。

たぶん襖に和紙を張るのは初めてだと思いますが、いつも日本画の下張り作業をされているので、慣れた手つきでどんどん作業は進んで行きます。まるで職人さんみたいです。

そうかぁ!

作業を見ていてふっと思い出したのは、「紅の豚」でポルトが飛行機を作り直す時に持って行ったあの工場のシーンでした。作業員は女子ばかりで、男子は工場長とポルトだけ。

あの光景ですね。

工場長やポルトの気持ちがわかりました。

「手出しはできねぇ〜なぁ〜」

まじめに額に汗しながら雑草取りをしていたら、腰が痛くなってしまいました。

「ちょっと休憩〜」と目をやると、もう仕上の和紙が張られていました。

茶色の和紙は栗で染められた和紙で、仏間と出入口の襖に張られています。

緑色は藍と山桃を合わせた染料で染められた和紙で、出入口襖の裏側、廊下側の和紙になります。「日本の染料には緑が出せるものがないらしく、青と黄色を掛け合わせるのが一般的」とSさんに教えていただきました。

どちらの和紙も保木工房の和紙です。自然の色ってやさしくて深みがありますね。

・・・・・

そうこうしていたらお昼ご飯でした。

トトち舎のTさんは、今日はシェフに専念。まずはお昼ご飯。

富山のお友達が、お蕎麦屋さんをやられているそうですが、お父さんが作られた貴重な手打ち蕎麦を湯がいてざる蕎麦に。

てんぷらや付け合わせなど盛りだくさん。

おいしかったぁ〜。

食べることに夢中で、写真を撮り忘れてしまいました。

さて、いよいよ胡粉作り。

胡粉は日本で古くから使われている顔料の一つで、蛤や牡蠣などの貝殻をすり潰して作られた粉で、日本画や日本人形の絵付けに使われているそうです。その胡粉を使うには、丁寧に粉をすり潰してから膠をしっかりまぜて耳たぶくらいの団子にし、絵皿などに百回くらい叩き付けて肌理を滑らかにします。そして、お湯にしばらく浸けてアクヌキをし、あとはきれいな水の中で、ゆっくりやさしくかわいがって溶かしてゆくと、牛乳のような白い液体になるそうです。

っと、ここまではネットの情報。

残念ながら胡粉の団子作りは見ることができず、乳鉢に残った白い胡粉の残骸と溶けた膠を発見。

それに、今回の胡粉には水晶の粉末を入れて割れ止めと質感UPを狙うとのこと。

なんか豪華な気分ですよね。

あとは皆さん代わる代わるにやさしくそっと、そして気持ち良さそうに溶かしていました。

いいなぁ〜

でも残念ながら、野良仕事のおじさんには触らせてもらえませんでした。

さて、こちらは栗の和紙にコンニャク糊を塗っているところです。

和紙の毛羽立ちをおさえ、汚れが付きにくくなるそうです。

生麩糊といい胡粉・コンニャク糊と、まさに自然食品並みの伝統的な材料。

奥が深いですね。

和紙の乾きを見計らって、いよいよ胡粉塗。縦に塗ったあとは横に塗って、むらなく塗ってゆきます。かなりシャバシャバな胡粉ですが、和紙の表面にうっすらと白い幕を作ってゆきます。

今後は乾きを見ながら塗重ねてゆくそうですが、様子を見ながら5〜6回ぐらい塗重ねる予定とのこと。とりあえず今回は1回目を塗ります。日も暮れて来て、皆さん追い込みにかかっています。

近寄れませんね。

・・・・・・

今回の作業はここまで。

皆さんご苦労様でした。

その後、シェフ担当のTさんと同僚のHさんが、一生懸命作ってくれた手づくりの夕飯をごちそうになりました。ちらし寿司に蛤の吸い物、唐揚げ、イワシの煮物などなど。おまけに庭になってていたフキまで、その場で炊いていただきました。

どれもこれも、ほんとうにおいしゅうございました。

ごちそうさまでした。

(慣れない庭仕事で足腰ガタガタでした)

トトち舎襖張りワークショップ 第2日目

気がつけばもう梅雨。

まだ肌寒い4月15日に、トトち舎の襖張りワークショップ第1日目がありました。でも、それ以降の報告をしていなかったので、ここはがんばって報告します。

第1日目は、シナ合板で作られた襖に和紙の下張りをする作業でしたが、引き続き第2日目も残りの襖に和紙を下張りする作業です。

今回、襖の製作に興味を持っていただき、中心的な役割で関わっていただいたAさんは、クライアントの同僚の先生で日本画を描かれています。襖の仕上を漆喰に合わせたいと思い、いろいろと尋ねていたら、日本画で使われる胡粉が良いよと聞きつけ、A先生に声をかけていただきました。人の輪っていいですね。

それともう一人は、襖に貼る和紙をコーディネートしてくれたSさんです。せっかく和紙を貼るのであれば美濃和紙にしたいとなり、美濃市で手漉き和紙を漉いている保木工房の保木さんの和紙を求めて美濃市を訪ねました。その時にSさんにお会いしましたが、Sさんも女性紙すき職人です。頼もしいですね。

そんな訳で、お二人の力強い応援もあって、襖張りのワークショップが実現することになりました。

さて、下張りの和紙を張る糊は、生麩糊(しょうふのり)という日本の伝統的な装幀などに使われてきた接着剤です。お麩を作る過程で分離して沈殿した粉が原料だそうです。だから、食べても安心だし、水に濡らせば簡単に剥がせるそうです。凄い知恵ですね。

その生麩糊を和紙全体に塗って襖の下地に張って行きます。建築現場の雰囲気とは違って、静かでゆるやかな空気に包まれた作業ですが、糊の付いた和紙を手渡しする時は、お互いのリズムが合わないとうまく行きません。緊張感が走ります。

作業に使われている道具の一部です。日本画に使われている刷毛だそうですが、柄のゆるやかなカーブと柔らかな毛が、いかにも日本の肌触りでした。

あっと言う間に下張り作業は終わりました。おそらく時間はかかっているけれど、緊張感のある作業が時間を忘れさせてくれたんでしょうね。ご苦労様でした。きれいに和紙が張られています。

 

オープンハウスとトトち舎

先週の土曜日と日曜日に「ユズリハの咲く家」のオープンハウスを行ないました。初日の午前中は、あいにくの天気でしたが、午後から晴れ間が広がり、そして翌日の日曜日も天気に恵まれました。そんな中、初めてお目にかかる方々や懐かしい方々、あるいは以前のクライアントのご家族などなど、この二日間で70人あまりの方々に来てただきました。

本当に有り難うございました。

まだ工事途中なので、「ユズリハは・・・」と聞かれて恐縮したり、「どこでご飯を食べるの?」と主婦目線で質問を受けたりと、オープンハウスならではの緊張感の中、皆さんからいろいろなご意見やご感想をお聞きすることができました。

有り難うございした。

さて、オープンハウスは4月22日(日曜日)の、あと1回になります。今週は、なんとか天気が持ちそうなので、工事が進んでくれると思います。そうすれば、ユズリハも姿を見せてくれるでしょうし、外構もきれいになると思います。なので、まだ見学にいらしていない方、あるいは、もう一度見てみたい方は、ぜひ次回のオープンハウスに来ていただければと思います。

オープンハウスの案内を下記に記します。

ユズリハの咲く家:完成見学会開催

開  催 日:2012年4月22日(日)
時  間:午前10時〜午後5時
場  所:岐阜市
用  途:専用住宅
構  造:木造2階建て
設計監理:多田直人建築研究所
施工管理:株式会社 相宮工務店

見学を希望される方はmail@naototada.comまで、氏名、連絡先、参加人数を御連絡下さい。後ほど詳しい案内図を送付させて頂きます。

よろしくお願いします。

 

それから、オープンハウスと重なってしまいましたが、4/15にトトち舎で襖の和紙張りワークショップがありました。ワークショップを終えて駆けつけましたが、下張りがほとんど終わっていました。皆さん、静かに、ゆるやかにそして集中して作業をされていました。次回は残っている下張りをして、29日に仕上にかかります。こちらも楽しみです。

現場は佳境に入ってます!

今日は本当にあたたかな日でしたね。寒い事務所から現場に出かけようと着替えましたが、いまだにセーター姿。なので車で走っていると汗ばんでくる始末。まるで冬眠あけのクマ状態です。早く衣替えしなくちゃ。

途中、伊奈波神社を通りましたが、枝垂れ桜が見頃です。きれいなピンクですね。

さて、現場は人だらけでした。左官やさん、フェンス屋さん、電気屋さん、家具屋さん、塗装屋さん、カーテン製作部隊、庭師さんなどなど。

「いまごろ〜?」と思われる方は、プロですね。

そうなんです。オープンハウスを2日後に控えていながら、このドタバタ!

じつは、このところ雨降りが多くて、左官仕事が遅れてしまっています。住宅部分は終わっているのですが、駐車場や庭工事がまだです。

ということは・・・・

「ユズリハの咲く家」のユズリハがまだ植わっていません。

どうするの〜?

と慌てているのは私だけかもしれません。皆さんは一生懸命やっていますから。

そんな訳で、オープンハウスは、工事途中の姿になってしまいますが、予定通り行ないたいと思います。若干、足元が悪いところもありますが、ぜひ来ていただいて、洋館を味わっていただければと思います。

では、少しだけプレオープン!

ぜひ多くの方に見てもらえればと思います。

お待ちしております。

 

トトち舎/囲炉裏の作業

板間の床下には囲炉裏があります。その中に、砂を入れて灰を入れる作業をしました。

今月の初め、大工の梅ちゃん(梅津建築)と二人で砂を取りに行きました。でも砂だけの所は見当たらず、砂利まじりの砂を20袋あまり軽トラに積んできました。タイヤが沈んで川原から抜け出せるかが心配。

取ってきた砂は濡れていたので、土間にシートを広げて乾燥しました。クライアント自ら暖房を効かせて乾燥具合をチェック。

そして、夜な夜な砂利まじりの砂をふるいにかけて砂の取り出し作業。全身土埃にまみれての作業になりました。ご苦労様でした。

囲炉裏の中に砂を入れてから、囲炉裏奉行のお出まし!奉行ご自身が作られた灰を囲炉裏の中へ。

残念ながら量が足りません。「あと45ℓの袋で4、5袋いるなぁ〜」とのこと。今年の秋にもみ殻をもらって補給することになりました。

つぎは仏間や押入などの襖に襖紙を貼るワークショップ。日本画の先生と美濃にある保木工房の女性紙すき職人さんとのコラボで、胡粉を塗った和紙や栗で染めた和紙を貼ります。たのしみですね。(私はその日、オープンハウスがあるため残念ながら参加できません。Tさん、写真取っといて〜!)

ワークショップ第10日目

1月22日。いよいよトトち舎のワークショップ最終日となりました。今日は、左官の小池さんが用事があるため参加できませんが、代打として、前日にも手伝っていただいた近畿壁材工業株式会社のHさんが、今日の講師を勤めてくれます。

Hさんは会社では営業を担当されていますが、扱われている商品がプロ向けの商品であるため、出来るだけ現場を訪れては、直接職人さん方に商品についての意見を聞いているそうです。そのため、次第に自らも左官仕事に興味が沸き、自分の道具を揃えて現場に出向くようになったそうです。でも職人さんの前ではなかなか塗る機会はないそうですが、今回は小池さんもいないので、おもいっきり塗れると張り切ていました。

さて、今日の参加者は7人です。初めての方やまだ慣れていない方のために、Hさんが鏝や鏝板の持ち方、あるいは漆喰を壁に塗る要領を流暢な関西弁の解説をまじえて実演してくれました。

では、さっそく漆喰仕上に挑戦です。鏝を持ったのも初めてな上に、漆喰を鏝に載せて壁に塗り付け、均一に延ばして行くのは、なかなか難しい作業です。思うように延びてくれない漆喰に手こずっている人を見かねて、すかさずHさんが脇で指導!張り切ってますね。

その後は、皆さん手探り状態を繰り返しながら、徐々に左官の世界へ没入。それを見て、Hさんは板間の天井塗を開始!気合いが入っています。どうやら、小池さんがいない間に、自分の持てる技術を最大限活かし、小池左官チームの面々に見てもらおうと思っている様子。あの流暢な関西弁は、すっかり影を潜めてしまいました。もっとも、漆喰塗をしていて気付いたことは、皆さん真剣になればなるほど口数が減り、鏝の音が聞こえるくらい静かになります。私なんかはひどいもので、思わずよだれが落ちるほど。おそらく夢中になっていると口が開いちゃうタイプなんでしょうね。お粗末ですね!

そのためだと言い訳じみてしまいますが、写真を撮るのも忘れていたために、休憩の様子やお昼ご飯の様子などが撮れませんでした。でも、ワークショップの期間中、お茶やお菓子あるいはお弁当など、そのたびに準備をしてくれた施主のTさんには、心から感謝します。おいしかったですよ!

そうこうしていて、3時を過ぎた頃には土間の壁も塗り始め、順調そのものと思っていましたが、これがなかなか進まないんですよね。結局は、外が暗くなってしまい、皆さんには予定外のお手伝いをお願いしてしまいました。申し訳ありませんでした。でも、おかげでほとんどの部屋を塗ることができて十分な成果を得られました。そして、Hさんも最後までつきあってくれて、本当に助かりました。「これから淡路島に帰ります」といって立ち去って行く後ろ姿が本当に素敵でした。まるで、ショクニンみたい!

そんな訳で、昨年から続いたワークショップも無事終了することが出来ました。有り難うございました。ワークショップに参加していただいた人数は、正確ではありませんが、職人さん達も含めると延べで60人から70人近くになると思います。こんなにも多くの方々に、そして、こんなにも長期間にわたってワークショップを支えていただき、本当に感謝しております。有り難うございました。

そして、最後までつきあっていただいた小池左官の小池さんには、本当に頭の下がる思いです。今回のワークショップの成果は、小池さんの協力が得られて、はじめて可能になったものと思っています。小池さんの気持ちにどれだけ応えられたかわかりませんが、十分なワークショップができたものと思っています。長い間、ご苦労様でした。そして、本当に有り難うございました。

 

ワークショップ第9日目

さて、ずいぶんと日にちが経ってしまいました、トトち舎のワークショップの続きです。ワークショップもいよいよ大詰めです。開催したのは1月21日と22日です。では、21日の第9日目から報告します。

あいにくの天気の中、参加してくれたのは6人でした。その中で、左官の小池さんが声をかけてくれたのは、ワークショップで使っている漆喰の販売会社、近畿壁材工業株式会社のHさんです。今回のワークショップのために、淡路島から泊まりがけで参加してくれました。関西なまりで滑らかに話をしてくれるHさんの言葉をBGM代わりに、さっそく作業にとりかかりました。いよいよメインの土間と板間の仕上です。

まずは下塗り作業です。参加人数が少なかったのですが、Hさんのおかげでどんどん進んで行きます。自前の左官道具を持参しての参加。力が入っています。

大きな面を塗るのは慣れてくるとなんとか塗れるのですが、狭い所や小さな壁は、以外と塗りにくいことがわかりました。鏝を小さくしないと何とも作業ができません。おまけに押入の中や仏間の中は、身動きが取れない状態です。

作業に追われて途中の写真を撮れませんでしたが、なんとか下塗りを塗り終えることが出来ました。やはり、左官の小池さんがいてくれたから終えることが出来たんだと思います。明日は、小池さんがいないのでどうなるんでしょうね?

ちなみに、このあとHさんの歓迎も含めて三楽でご苦労さん会となりました。疲れた身体にお酒が染み渡ります。明日もがんばろう〜!

 

 

 

ワークショップ第8日目

1月15日(日曜日)漆喰塗の2日目です。施主のTさんは法事で出かけ、平野木材のIさんはもう一つの行事で午前中はお休み。ヒュッテファニチャーのH夫妻が交代で参加してくれましたが、午前中の参加者は左官の小池さんを入れて3人だけ。「どうなるんだろうか?」

不安を抱きながらの午前中の作業が終わって、お昼のおにぎりを食べ終わった頃から急に人が増え始め、あっという間に14、5人に膨れ上がってしまいました。午前中の様子からネタの仕込みを控えていた小池さんも大慌てでネタを仕込み、参加者の振り分け作業に大忙し。嬉しいことです。法事から戻ってきた施主のTさんも大喜びで、名札に「施主」と書いて見せびらかしていました。

3時の休憩ではお茶と珈琲の用意で活気があふれていました。手伝ってくれたのは羽島の家のKさんご夫婦。久しぶりにお会いしましたが、「ラーメンを食べにきてちょっと現場をのぞいたら鏝を持って塗ってるんだもんね」と笑顔で手伝ってくれました。感謝感謝!

親子の参加者は大工さんチーム。娘さんの笑顔が印象的でした。

今日の作業ができた部屋は、玄関の仕上とキッチンの下塗り。そして、土間と板間の目地テープ張りまで。大工さんや塗装屋さんの各職人さんは要領を得ているので作業が早い。見ていても気持ちがいいですね。

はじめて漆喰を塗る人。前にも塗ったことがある人。それぞれが会話を楽しみながら、でも真剣な面持ちで壁に向かって一生懸命に塗っていただけました。そして、夕方になる頃、三々五々と帰られる参加者が増え、いつしか現場は静かになって行きました。最後まで手伝ってくれたKさん、Hさん。ご苦労様でした。

さて、このブログを書いているのは1月21日です。そう!今日から2日間のワークショップが始まります。さてさて、最後まで塗ることができるのか。もし時間のある方はぜひ参加してみてくださいね。お待ちしております。

ワークショップ第7日目

ワークショップ第2弾

漆喰塗実習作業 「壁と天井に漆喰を塗ってみよう!」

今日から漆喰塗のワークショップが始まりました。普段の生活で何気なく見ている壁や天井に自分で漆喰を塗ってみると、どんなことを感じ、どんな空間になって行くのか。実際の作業工程を体験しながら、完成した部屋の雰囲気を自らの身体を通じて体感してもらう企画です。左官の指導をしてくれるのは、前回のワークショップで現場研ぎ出しを教えてくれた郡上市の小池左官の小池忠さんとその職人集団の方々です。作業予定は、1月14日・15日および1月21日・22日の計4日間です。

いつも気さくに話してくれる小池さんに、さっそく鏝と鏝台を使って鏝さばきの練習に取りかかりました。鏝に漆喰を載せるだけなんですが、持ち慣れない鏝に粘り気のある漆喰は思うように載りません。参加者の皆さんは真剣な顔をして鏝さばきを練習しています。

では、さっそく塗ってみましょう!おぼつかない鏝さばきでスタートしましたが、まずは身体を使って慣れること。少ししか載らない漆喰を壁に塗っていると少しずつ塗れる面積も増えて、萎縮していた手の動きもだんだんなめらかになって行きます。最初は難しいと言っていた参加者の方も見よう見まねで塗り進んでいるとなんとか塗れるようになって行きます。そうすると不思議におしゃべりが無くなり、皆さん無言で作業に没頭し始めます。聞こえてくるのは鏝とボードの擦れる音と「ボタッ」という床にこぼれた漆喰の音くらいです。なかなか緊張感がありますね。

隣の部屋では職人さん方が天井塗を見せてくれました。漆喰を鏝に載せて天井に塗り付け鏝で均等に延ばして行きます。いとも簡単に塗っているようにみえる作業ですが、これはなかなかの技術です。上向きで塗りながら、時折息を吐く音が印象的でした。この天井は引きずり仕上で仕上げられました。

今日の作業は無事終わり、トトち舎の編集室と玄関脇の応接室の2部屋の壁と天井を塗り終わりました。現場研ぎ出しの作業と違って静かな作業でしたが、慣れない道具を使って慣れない姿勢で作業をしてみると意外なところに痛みを感じます。私の場合は鏝の持ち方やさばき方が違うため、やたらと右手の親指が痛くなります。小池さんに鏝の持ち方とさばき方を見せてもらいましたが、親指は添えているだけで力は使っていないそうです。鏝のさばき方がまったくちがうんですね。職人さんが教えてくれた話しでは、鏝さばきの練習で鏝を使って水面を撫で波が立たないようにするそうです。完成した壁を見てみると嵐が過ぎ去ったような表情です。

「でも、これも個性のあらわれですよね!?」

 

ワークショップ第6日目

1月7日(土)今日は朝からよい天気です。青空も見えて気持ちがいい。朝日が市街を照らし、山並みの影が写し出されています。

今日は予定外の作業となりましたが、左官の小池さんは、はじめから期間が足りないことを予測していたようです。参加者が少ないことや道具の扱いに不慣れなので、当然作業は進みません。でも、それを承知でワークショップにつきあってくれた小池さんや左官職人の方々には感謝の言葉しかありません。

さて、昨日は暗くて出来映えがわかりにくかったのですが、掃除をしてみると結構いけてるように思います。最後の作業は、サンドペーパーによる手作業での研ぎ出しです。ほこりは立たないので前日までの作業に比べるとやりやすいのですが、普段の運動不足と作業の要領の悪さから、無駄な力みと慣れない姿勢で結構身体にくる作業でした。ふと、横目で小池さんのやり方を見てみると無駄な動作や力みはありません。さすがですね。

地味な作業も無事終わり、一応の完成を見ました。「どこで終わるか」が難しいと小池さん。やりだせばきりがなく、作業方法もおのずと違ってきます。今回の狙いは祠のような淡く白い空間をイメージしていたので、大理石もピカピカの本磨きとはせず、表面の光沢を押えたマットな仕上にしました。ただ、近くで見れば傷も多く床の不陸も感じますが、はじめての現場研ぎ出しを体験するワークショップとしては、十分な成果を得られたと思います。小池さんをはじめ左官職人の方々、石に慣れ親しんでいるのに現場研ぎ出しは初めてだからとワークショップに参加してくれたEさん、参加者の少なさを見かねて助けてくれた梅津建築の大工さんチーム、育児で大変なのに子供を預けて参加してくれたヒュッテファニチャーのH夫妻、そしてワークショップの開催を自らも楽しんで見守ってくれたトトち舎オーナーのTさんに、こころから感謝致します。ご苦労様でした。

いよいよワークショップ第2弾。

漆喰塗実習作業(一般向き)「壁と天井に漆喰を塗ってみよう!」が引き続き開催されます。開催日は1月14日、15日および21日、22日の4日間です。ボードの上に漆喰で仕上げるまでの作業を体験できます。興味のある方はぜひ参加してくださいね。

(このブログを書いた時点では、14日、15日は終了しています。のちほど報告をUPしますのでお楽しみに!)

 

ワークショップ第5日目

すっかり報告が遅くなってしまいました。慣れない作業が続いたこともあって家に帰ってくるともうぐったり。筋肉痛と手荒れがひどいためにお風呂が一番の特効薬でした。なので、湯上がりになんとかパソコンの前に座ってはみたものの、すぐさまご就寝。結局、報告がたまってしまいました。なんとかせねば!

さて、1月6日は少し曇り空でしたが、晴れ間の見える天気で、天候に恵まれています。

今日は、前日の作業の続きです。作業前にあらためて見てみるとおもしろい床になりそうで、完成が楽しみです。

さてと〜。ただひたすら研ぎ出していたために経過の写真を撮り忘れてしまいました。いや、もっと正確に言うと精神的にも肉体的にも撮る余裕がありませんでした。したがって、作業の方も目地の研ぎ出しが残ってしまい、予定外ですが明日に持ち越しになってしまいました。左官の小池さんには申し訳ありませんでしたが、もう一日おつきあいをお願いして、明日の完成をめざすことにしました。がんばろ!

 

ワークショップ第4日目

今日の作業〜研ぎ出し

新しい年を迎えて、いよいよ本番の研ぎ出し作業です。朝から雪がちらつき山はうっすらと雪化粧をしています。薄暗い雲が覆う中、朝日に照らされた名古屋市内が見えます。美しい光景ですね。

さて、今日のワークショップは、ディスクサンダーを使った研ぎ出し作業です。高度成長期であれば大型の研ぎ出し機械で行なわれていた工法ですが、左官の小池さんが、知り合いの職人さんにいろいろと聞いてくれたのですが、もう現場研ぎ出しなんて仕事がないので、皆さん機械を処分されてしまったそうです。なので今回は手仕事風に研ぎ出してみることになりました。

年末に埋めた目地は思ったよりも固く、慣れないディスクサンダーを使っての作業に妙に力が入りすぎ、砥石を一枚破壊してしまいました。「言おうと思っていたところだったんだよね。あんまり力を入れないようにと。」危うく飛び散った砥石のかけらが、小池さんに当たるところでした。すいません。あらためてそっと削り始めますが、なかなか要領がつかめなくて傷まるけの目地になってしまいました。でも午前中も終わる頃には、なんとなく感触がつかめ、空中を滑らしながらやわらかく研いで行くことが少しできるようになってきました。ただ、その間に削られた目地や大理石の粉がいよいよひどくなり、もう作業場は濃い霧の中のような状態で、防護マスクはしていても顔中白く、みんな歌舞伎役者の様相でした。

すべてを研ぎ出すことは出来ませんでしたが、なんとか要領もつかめ明日の作業を残して終了しました。でも研ぎ出されて行く目地や大理石はきれいに模様が浮き出ています。完成が楽しみです。

 

ワークショップ第3日目

今回のワークショップは、本当によい天気に恵まれました。これもクライアントの運の強さでしょうか。とはいえ、年末ともなると皆さんお忙しいようなので、ワークショップ参加者は私一人となりさみしい限り。左官の職人さんが「今日は応援来ないの?」と心配してくれ、「まぁがんばります!」と力のない受け答え。そんな私を見かねてそっと?いやいや、始めは様子見でしたが、しばらくするとボルテージが上がりっ放しで、鳴り止まないラジオ状態!とても救われました。なにせ今日のメニューは、「目地込め」。白セメントに寒水石を混ぜたモルタルを目地に詰め込み、ただただこする!でも、これが難しい。

半分を終わった頃に、梅津建築チーム登場。ちょっとへこたれ気味だったので助かりました。そして、要領の飲み込みも早く、どんどんと進んで行きました。

水引きを待て昼ご飯。栄気を養うためにと、近くのとんかつ屋さんへ。ご夫婦でがんばっているお店ですが、ランチが680円でボリュウム満点。なんと親切な!お腹もふくれて、再び目地をこする。ただただこする。嫌になりそうなところをぐっと我慢して、ひたすらにこする。

そして、やっと目地込め完成。昨日と比べると目地が目立たなくなって、一体感が出てきました。今年の作業はここまで。いよいよ年明けの1/5、6で研ぎ出し作業をします。かなりのほこりが出るため、防護メガネと防塵マスクは必須とのこと。覚悟してかからねば。でも完成が楽しみです。

追伸;ワークショップの参加者を募集しています。興味のある方は、ぜひご参加ください。事務所のメールアドレスにご連絡いただければ、詳しい案内を送らせていただきます。お待ちしております。

 

ワークショップ第2日目

昨日に引き続き今日もよい天気に恵まれました。有り難いことです。

本日のメニューは「石の設置」です。モルタルを敷き詰めた上に、仮置で決めた石を設置して行きます。寒い中、職人さんが勢いよくスタート!その動きに圧倒されながら、ただただ作業工程を見させてもらうばかり。

そこへ、昨日まで工事をしてくれていた大工さんチームが、ワークショップ参加者として殴り込み。左官屋さんから鏝とレベルを奪うと2人で果敢に並べ始めました。さすがに現場を見ているだけあって、要領をつかむとどんどんスピードアップ。「足場がいるのでは?」と大工が問えば「踏んでもすぐ治せるから」と笑って答える左官!立場が違う中での職人同士の会話は、聞いていても楽しいですね。

土間の入口部分は、建具の枠との関係でレベルをきっちりと。

土間の半分を敷き終わり、残り半分へ突入。順調です。ただ、どんどん足場のスペースが無くなって行くので石を据える時が大変です。

入口部分には立上がりの石を貼ります。結局、親方がきれいにやってくれました。

いよいよ大詰め。入口に向かっての床のレベル調整が肝心。

そして、無事に並べ終わりました。後はしばらく乾燥を待って、目地の掃除と下地作り。

「この小口の掃除が大事ですよね!」そう問われて、「なるほど!」

次の研ぎ出しに気を配る大工の梅ちゃんに座布団一枚!

見事に白い大理石が敷き並べられました。端材を使った並べ方としては、おもしろい出来上がりだと思います。

ご苦労様でした。

さぁ〜て、明日は目地込めです。楽しみです。

そういえば、外部の建具が徐々に出来上がってきました。ナラの無垢材で作られています。いい顔をしてますね。

いよいよ現場テラゾ工法を試します

メリークリスマス!

そんな言葉がピッタリの雪景色でしたね。しんしんと降る雪は、いつ見ても美しい。そして、雪化粧をした山並みもじつにきれいです。今年の冬は、久しぶりに冬らしい冬になるんでしょうか。

さて、現場は大工さんが勢いを増して、急速にその姿を現しています。細かな取り合いがいろいろとあって大変ですが、とても前向きにがんばってもらっています。有り難いことです。

 

これなんだと思います?

 

ところで、明日からいよいよ床の大理石を貼って、きれいに研ぎ出す現場テラゾ工法という作業を、ワークショップ形式で始めます。使われる大理石は端材ですが、パルテノン神殿にも使われているというホワイトペンテリコンという白い大理石です。参加者が少なくて大変かもしれませんが、左官職人の方々と楽しんで作業が出来ればと思っています。

 

この土間で作業をします。

 

雪の中で出番を待っている大理石の山です。

さぁ!がんばろう!

 

真打登場!

外部まわりの枠が納まり、おおまかな内装下地が出来上がる中で、要となる材料の取付が始まりました。まずは玄関の上がり框です。もともと使われていた框ですが、ワックスなどで重なっていた汚れをスッキリ落とし、うぶな材料となって生まれ変わりました。こんな風にできるのは、やはり無垢の木を使っているからでしょうね。この玄関框とともに、いろんな種類の広葉樹が彩り豊かに玄関を飾ります。楽しみですね。

 

こちらは板間の上がり框に使う広幅のトチの無垢板です。きれいに鉋がけをされて、舞台を彩ります。

 

キッチンの床には、使い古された足場板を並べることに。いろいろな現場で働いてきた杉板は、貫禄十分な表情をしています。

「足場板を養生するなんてはじめてやぁ〜」

本当にそう思います。

石をもとめて

今日は本当によい天気でした。晴れ渡った空は青く高く、陽射しは透明感のあるスッキリした輝きでした。見るものが、色鮮やかな印象に見えました。そんな中、現場にはきらきらと輝くものが漂っていました。ダイヤモンドダスト!?・・・いえいえ原子記号はにてますが、墨の粉でした。今、外壁に焼杉の板を貼っているために、ところ構わず舞っています。なので、大工さんは完全防備!どこかでみたようなスタイルですが、ここは住宅の現場です。

 

さて、現場をあとにして石探し。土間に石を敷くことになったので、まずは手伝ってもらうEさんの工房で石を見せてもらい、加工の手ほどきを受けました。思うようにできないことを実感。前途多難。

悩んでいても始まらないので、胡蝶庵で腹ごしらえ。久しぶりに食べた手碾き蕎麦は、いつものように透明感があって、おいしい蕎麦でした。

そして、いざ赤坂の矢橋大理石さんへ。土間に使う石は、ホワイトペンテリコンというギリシャ産の石で、パルテノン神殿にも使われている石だそうです。白い地肌にうっすらと緑がかった模様が入っている気品のある大理石です。もう一つは、お風呂や洗面所の床に使うことになったトルコ産のサンドウェーブという大理石です。細かな模様がきれいに入ったベージュ色の大理石です。さてさて、うまく貼ることができるのか。

目的の石が決まったところで、工場を見学させてもらいました。じつに広い工場です。大きな原石に水をかけながら、十数枚もの刃で一度に切っています。そしてその刃を動かしているのは、蒸気機関車の車輪を動かすように大きな輪っかが後ろで廻っていました。2〜3センチあまりをきるのに1時間くらいかかるそうです。そして、1㎡の石を切るのに6トンもの水がいるそうです。水の豊かなところだからできることなんですね。

 

打ち合わせの時に案内された部屋の床には、いろんな種類の大理石の端材をきれいに並べて、研ぎ出してありました。じつにきれいな表情の床でした。いまではこうした研ぎ出し仕上は、ほとんど見かけません。ふと思い出したのは、ヴェネチアでカルロス・カルパが手掛けたオリベッティのショールームで、小さな赤っぽいタイルを並べて研ぎ出されていた床でした。不揃いの中に温もりのある仕事に、こころ引かれました。

 

さてさて。

年末には、大仕事になりそうです。

 

はじまりは一枚の絵から

「この絵を飾ってゆっくりと佇んでいられる場をつくりたい」そんな想いから計画が始まりました。クライアントは今、名古屋に住まわれていますが、少しずつ岐阜へ戻って来れるようにするためにご実家を改装する工事です。もともとの住まいは、ご両親が大切に住まわれていた和風の建物ですが、望まれている空間は少し違っていました。そのため、使われている材料はそのまま使えませんが、できるだけ活かして使うことにしました。

きっかけになった一枚の絵は、尹 煕倉(YOON Heechang)さんの作品です。静かな空気が茫洋として漂い、見る者の視線を彼方へといざなうようなこの絵に、どんな場を与えることことができるのか。

この家を大切にされていたご両親の遺影が見守る中で、工事の無事と感謝の気持ちを込めて地鎮祭が執り行われました。


工事を引き受けてくれたのは、梅津建築さんです。目のキラキラした若き親方、梅ちゃんと、一級建築士の資格を持つ若き大工建築家の宮田君のコンビです。2人とも未来を見据えて、日々がんばっています。負けられませんね。

今回、和室を模様替して、土間と囲炉裏のある板間にする計画です。その板間と、玄関の床に使う板を飛騨古川にある西野製材さんへ行って調達してきました。板間は栗材、玄関は・・・秘密です。無垢材の板は、本当にいいですね。

調達した板は、梅津建築さんで加工してもらいました。なかなか味のある良い板に仕上がっています。そして、別に調達してもらった木がトラックに乗って運ばれてきました。どこかで見たことあるような古い木ですよね。キッチンの床になる予定ですが、うまく使いこなせるのか・・・

今回の計画では、材料の調達や左官工事あるいは塗装工事などをオーナー自らが先頭に立ち、脇で私や大工さんチーム、家具のヒュッテファニチャー夫婦、そして、まねっこ縄文建築団の面々と、その他関係者の友人知人の中でお祭りごと大好き人間を集め、にぎにぎしく建築して行きたいと理想を描いています。なので、声をかけられた方は、ぜひ参加してくださいね。